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最終更新日:2021年01月22日
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第242話 「おまけ 前編」

 何かの帰りだったと思う。妻と二人で車に乗っていると、懐かしい風景が目に入って来た。
僕が小学校一年生まで住んでいた所だった。しばし昔しの余韻にひたる。
 僕が子どもの頃に家の近所にお菓子屋さんがあった。その当時おじいちゃんが店番をしていた。
このおじいちゃんが凄く怖い。
ここで言う怖いというのは、あくまでも、子どもから見た、おじいちゃんの風貌と店の雰囲気である。そんな訳で友達は誰もこの店には行かなかった。僕も最初は怖かったが、ここにしか無いお菓子を買う為に通っているうちに、すっかり馴れてしまっていた。でもおじいちゃんの登場シーンだけは何回見ても怖かった。
「ごめんくださ~い」店の入口りで叫ぶと、店の奥にある建てつけの悪いスリガラスのはまった引き戸が、キュルキュルとかん高い音を立てながらあくと、おじいちゃんが登場する。
「いらしゃ~い」真っ白い髪に色黒でしわくちゃの顔。声はゆっくりでドスの利いた超低音。薄暗い店内と異様にまでマッチしていた。一緒に行った友達が泣き出した事もあるくらいに怖かった。
僕がお金を渡すと、無表情な顔で言う。でも僕には分かっていた。おじいちゃんの目が何時も少しだけ笑っているのを。
「何時ものだね」と言ってお菓子のケースを開けると、ショベルみたいなやつでお菓子を袋に入れ、秤で計った後に、袋の両端を指で摘み、クルンと一回転させる。その行為を見て僕は何時もおじいちゃんのある言葉をドキドキして待っていた。
「少しおまけしとくよ」この言葉を聞くとヤッタ~って思うんだけど、「うん」とだけ答えて頭をペコリと下げる。
何故か僕は「ありがとう」の一言が言えなくて、何時も最後はモヤモヤした気持ちになった。
ある日、友達が僕に何であの怖い店に行くのか聞いたので、僕が訳を説明すると。
「それなら○○商店にも売ってるぞ」○○商店にあるやつは、普通のお菓子の様に印刷された袋に入った物で、おじいちゃんの店のとは違う。

つづく

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