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最終更新日:2020年10月19日
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第356話「クロスワード」

 新聞を読み終えた祖父がぶ厚い老眼鏡越しに、こっちを見ると、新聞を折りたたみながら言った。
「いや~酷いもんだな。フイリッピンの台風」
「フィリピンだよ」と僕。
「だからそのフイリッピンだって」面倒なので放っておくことにした。
「職業か・・・俺の職業は何だろか?」もう話題が変わっている。
「何書いてんの?」
「クイズの懸賞に応募しようと思ってな」
「職業って無職だろ」
「そりゃちょっと書くの気が引けるな」
「だって仕事してないんだから無職だろ」
「そうだけど、何か良い表現の仕方はないだろうか?素浪人なんてどうだ?」
「いつの時代だよ。八十過ぎてんだから無職で充分だろ。それに素浪人も無職なんじゃないの?」と笑いながら言う僕。
「だって、歳を五十六って書いちゃったから・・・」
「何でそんなとこでサバよむんだよ」と呆れる僕。
「暇な年寄りが昼間っから時間潰しでクイズを解いたって思われるより、働き盛りの人間が普段忙しい中、寝る間も惜しんで解いたって方が印象も違うべ」
「答えが合ってるかどうかが重要なんだからさ、そこ迄は抽選する方も考えないじゃないかな」
「そういうもんかな」
「そういうもんだよ」
「でも五十六って書いたから会社員ってしとくか」
「働き盛りって意味じゃ微妙な歳だけどね。で、クイズは解けたの?」覗いてみると、クロスワードだった。
「まだだ」と言った後で。
「アキノ大統領ってどこの国の大統領だっけ?」
「フィリピンだよ」
「だろ?この前、台風のことでニュースに出てたもんな。だったら六文字のはずなんだけど、マスが五つしかないんだ。ここの横のマスに入るんだけどな」と言って僕にマス目を見せ、指でなぞりながら口頭で一文字ずつ確認する様に言った。
「フ・イ・リ・ッ・ピ・ン。な、1マス足りないべ?」
「だから、フィリピンだっての」

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