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最終更新日:2024年04月19日
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第100話 「最後の報酬 後編」~読者の声より~

 母の容態は日を重ねるごとに悪化して行きました。
懸賞に応募を続け、三ケ月になろうかという頃、当選者の欄に同じ名字の人を見つけました。私が興奮気味に母に伝えると、母はニッコリ笑って頷きました。
この頃の母の病状は悪く、殆どが寝たきりで、時々昏睡状態にもなっていました。もう母の命も時間の問題でした。そんな中、商品券が届きました。たまたま母の体調も良かった日でした。
「あっ、やっぱり当選してたんだね。でもハガキ代を引くとチョンチョンじゃないの?」私がそう言うと、
「金額じゃないの。当たったっていう事が嬉しいんだよ。それにこれは報酬だよ。求人君を探したね」と言って、母は笑顔で商品券を枕元の机の上に置きました。
その後、私が母から目を離すと、娘の美智子が商品券の裏側に落書きをしてしまいました。
「ほら、ばばの顔書いたよ。ねえ、ここに、ばばのかおって書いて」
「あら、上手に書けたね。どれどれ」と言って母は商品券に字を書き込みました。
これが母の最後の元気な姿となりました。
その日の未明、母は帰らぬ人となりました。
母が亡くなって少しして、いつ母が入れたのか分りませんが、私のバッグの中から商品券が出てきました。
商品券の裏側には、美智子が書いた絵と母の字がありました。(みんな、ありがとう。幸せでした。ばばより)それは、力強く男っぽい字を書く母の字とは思えないほど細く、か弱い字でした。
それを見た瞬間、涙が一気に溢れ出しました。商品券を両手で胸に押さえつける様にして、私は大声を出して泣きました。
今になって思うと、あの時に母が報酬という言葉を使ったのは、きっと働きたかったのだと思います。働く事が何より好きな人でしたから。
この商品券は一生使わずにおくつもりです。求人さんから母への最後の報酬です。
ありがとう。

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