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最終更新日:2024年03月29日
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第103話 「2階の住人」

格安物件が見つかったと言っていた友達Aから電話があり、その晩、僕とBは引越しして間もないAの家に遊びに行く事になった。そこの建物は三戸が入っている物件で、隣りはメゾネットタイプだった。友達が借りた所も元々はメゾネットだった様だが、何故か上と下が別々の賃貸で、室内にあった階段も取り外され、階段があった所の天井の壁紙の色だけが真新しかった。上の部屋に通じる玄関脇の階段も、にわか作りの様で、とてもちゃちな物だった。
「変な作りだよな。何で上と下で別々にしちゃったんだろ?」Bが言った。
その瞬間、二階で人の足音が聞こえた。わざとドンドン歩いてる様に思えた。
「うるさいな。何時もこんな感じなのか?」
「そう、毎晩なんだ」
「ちょっと行って注意して来るか?」Bが言った。
「行っても無駄だって。誰も住んでないんだから」
「・・・」暫し沈黙が流れるが、ガサガサという音で三人は飛び上がった。それは階段があった天井の壁紙が剥がれる音だった。
「いくら貼っても剥がれるんだ。そこの壁紙」
「とにかくお願いだから今日は、泊まっていってくれ」
僕ら二人は、懇願する彼の言う様にした。三人で壁紙をしっかりと貼り直して、僕らは居間で寝る事にした。
夜中、ガサガサっという壁紙の剥がれる音で目が覚めた。体が動かない。でも頭だけ少し動いたので、Aの方を見ると、全身焼けただれた老人が腹ばいになり、Aの足首を掴んで、自分の方へと引っぱっているのが見えた。Aは声にならないうめき声を上げながら必死に抵抗している。僕も叫ぼうとしたが、声が出ない。
やがて何かが解けた様に急に大声が出た。老人は僕の方を見た。真っ黒に焦げた顔には目がなかった。老人は僕の顔を見ながら足元からゆっくりと消えて行った。
後になって聞いたが、Aの部屋の二階は、以前火事にあい、寝たきりのおじいさんが焼け死んだそうである。

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