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最終更新日:2024年04月25日
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第106話 「叔父VSマーちゃん」前編

いつもの様に叔父から電話が掛って来た。根室沖に船釣りへ行かないかとの事だったが、その日はちょうどマーちゃんを預る約束を友達としていた。その事を叔父に伝えると、一緒に連れてこれば良いと言った。マーちゃんの父親である友達に連絡すると、釣りへは連れて行った事がないので是非頼むと言われた。こうして叔父とマーちゃんの初対面の日がやって来た。
朝が早い為、マーちゃんは前日の夜から僕の家に泊まっていた。叔父は午前二時過ぎに車でやって来た。
「今日、一日お世話になります。宜しくお願いします」
玄関先でマーちゃんは元気にこう言うと、深々とお辞儀をした。
「ほう、随分と礼儀正しい子だな。気持ちが良いもんだ。こっちこそ宜しくな」
と言って叔父は右手を出してマーちゃんと握手した。
「着いたら起すから、後ろの席で寝てろ。ほら、ちゃんと毛布持って来たからよ」
叔父が後ろのドアを開けながら言った。
「お言葉に甘えてそうさせて頂きます」と言ってマーちゃんは後ろの席に乗った。
「車酔いはしないか?」
「はい、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
車が走り出すと、やがてマーちゃんは眠りについた様だった。
「おい、どっか良い所の坊ちゃんなのか?何年生だ?」
助手席に座っている僕に叔父が聞いた。
「いや、普通の家庭の子だよ。五年生になったのかな」
「じゃ、よっぽど親御さんの躾が良いのか?」
「別にそんな事はないよ。父子家庭だけど、特別厳しい訳でもないよ」
「じゃ、なんでだ?お気遣いありがとうございますなんて言うか?普通。五年生だぞ。俺だってそんな言葉使った事ないぞ」
港には朝の六時近くに到着した。僕らを含め二十人程度の釣り客が乗船した。間もなく船は出航し、北方領土近くの漁場に到着した。今時の子どもは、虫が苦手と聞いたが、マーちゃんは全く平気で、イソメを素手で捕まえ、僕が教える通りに針に付けた。

つづく

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