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最終更新日:2024年04月19日
最終更新日:2024年04月19日
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第112話 「3年越しの初任給②」

僕だって三年前までは、働いていた。でも一週間で会社を辞めた。父の顔で入った会社だったので、父とは大喧嘩になった。
「俺にはもっと自分にあった仕事があると思うんだ」
「じゃ、お前に合った仕事って何だ!言ってみろ!」
「それをこれから見つけるんだって」
「そういう事は学生の時に考えるべき事だろ!お前、大学で四年間何をして来たんだ!」父とはどこまで行っても平行線だった。父の言う事はもっともだと思ったが、どうしても素直にはなれず、自分の部屋にこもってると、母が入って来て言った。
「父さんも母さんも働いているから、お前一人ぐらいは養って行けるからさ、時間はいくら掛っても良いから自分の納得の行く仕事を頑張って探しなさい」
僕は、この母の言葉に甘えたのと同時に自分自身にも負けた。この日を境に今の僕がある。
人生の転機って奴は、ある日突然やって来るもんだと思った。偶然なのか必然なのか分らないが・・・。
とにかくそいつは最低の形で僕ら家族の前に現れた。
ある日、何時もの様に朝食を食べに下へ降りて行くと、居間のテーブルの上に「週刊求人」が置いてあった。こんな求人誌、何時から出ていたのか知らなかった。
ページを捲ると、求人広告の何箇所かに丸印が付いていた。誰が何の為にこんな印を付けたのか、その時は分らなかった。僕の仕事を探しているのだろうか?
その日の晩、夕食を持って来た母がドア越しに言った。
「お父さんね。会社リストラになっちゃった。今、一生懸命に就職先を探してるから、今月のお小遣いは少し減っちゃっても良い?」
「あっそ、良いよ別に」
「ホント御免ね」
何故お前も早く仕事を見つけろって母は言わないのか、その事に僕はむかついた。
何故こんな息子に優しくできるのか、考えれば考えるほどむかついた。でもそれは母を通して自分自身にむかついていたんだと気付いたのは、もう少し先の事だった。

つづく

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