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最終更新日:2024年04月19日
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第125話 「遺産相続」

札幌に住む友達のお婆ちゃんが危篤になった。息子である友達の父親を初め、家族総出で札幌まで行く事になった。
友達が言うには、子どもの頃にお婆ちゃんの家に家族で遊びに行くのが嫌だったらしい。とにかくケチで、何時も怒ってばかりいて、お菓子すら買って貰った事がなかったそうである。
「時は金也。人生は短いんだ。一分でも惜しんで働きな。とにかく銭だ。銭を持った者が勝ちなんだ」息子である彼の父親は、何時もこう言われて育った。
早くに旦那さんを亡くし、旅館を経営しながら子ども五人を育てた上に財産まで築いたお婆ちゃんの苦労たるや想像を絶するものだったに違いない。
「金と再婚したんだ」と父親は良く言ってたらしい。
病院に着くと、既に昏睡状態で、もう時間の問題だと医者にも言われ、病室には親族一同が集まり、お婆ちゃんの旅立ちを見守っていた。
土地等の固定資産は全て現金化され、お婆ちゃん名義の通帳で管理されていた。
「わしが死んだら兄弟で仲良く分けろ。つまらん争いはするなよ。でもわしの目の黒い内は、わしのもんだ。わしは百まで生きるからな」
これが、お婆ちゃんの口癖だったそうだ。この言いつけを守り、兄弟で仲良く遺産を分配する事になった。
長男はお婆ちゃんの面倒を見ていた為、配分を少し大目にし、それ以外の兄弟は、みな均等に分配した。こうして遺産の分配が無事に済む事となった。
危篤と言われ、親族が集まって二日になるが、まだ昏睡状態は続いていた。みな仕事もあり、長い間付き添っては居られないという事から、地元の長男夫婦以外は、いったん引き上げる事になった。
昏睡状態が続いた三日目に信じられないことが起こった。永遠に閉じられるはずのお婆ちゃんの目がパッと開いたのだ。親族は既に長男夫婦だけとなっていた。
驚く息子夫婦の顔を見て、はっきりとした口調でお婆ちゃんが言った。
「わしの銭はどうなった?」

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