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最終更新日:2024年04月25日
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第127話 「昔と今」

友達に二人目の子どもが生まれた。女の子だった。長男が生まれてから十年が経っていて、初めての女の子という事もあり、その可愛がり様といったら、尋常ではない。仕事帰りには、毎日の様におもちゃを買って来る。
「は~い。今日はアヒルさんを買って来まちたよ~」と言って赤ちゃんの顔の前でアヒルのおもちゃを小刻みに揺らす。
彼は中学の時からの友達で、学校内でも有名なワルガキだった。ワルガキといっても、万引きや弱い者をいじめるというのではなく、自分の学校の生徒が他の学校の生徒にやられると、単身でその学校にのりこみ、相手をボコボコにしてしまう。そんなんで毎日の様に他の学校の生徒と喧嘩をしていた。相手が何人であろうと、負けた事は一度もなかった。ワルガキと言うよりも、番長的存在と言った方が良いのかも知れない。
そんな遠い昔の事を思い出し、僕は微笑みながら、子どもをあやす彼の後姿を見ていた。それを察した様に彼は僕の方を振り返り、笑いながら言った。
「何笑ってる?俺が子どもあやすのは変か?」
「いや、人って変わるもんだなと思ってな」
「そうなんだよ。俺も自分で時々可笑しくなるんだ。昔の俺からは想像できないよな、こんな姿はさ。でも本当に可愛くて仕方ないんだ。十年前はこんなんじゃなかったと思うんだけど、歳とったのかな?俺も」と照れくさそうに言った。
そんな時、電話が鳴り、奥さんが出た。
「いつもお世話になっております。先日はお祝いを頂きまして、ありがとうございました。はい、そうなんですよ、もうメロメロなんですよ。はい、少々お待ち下さい。あんた、会社の部長さんからだよ」
「ハ~イ、ちょっとの間、このおじちゃんに抱っこちて貰いなちゃいね」と言いながら、彼は抱いている赤ちゃんを僕に渡し、奥さんと電話を代わった。
受話器を受け取り、耳に当てると彼は言った。
「はい、もちもち」

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