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最終更新日:2024年04月19日
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第128話 「叔父8」前編

叔父から電話が掛って来た。
「今度の日曜日にスキー行かんか?」叔父とは何度かスキーに行った事はあるが、何せ自己中心的なので、勝手に好きなコースへ滑って行ってしまい、行方不明に なってしまう。だから叔父の家族は誰も一緒にスキーには行きたがらない。
「最後に一緒に行ったのって、十年くらい前だっけ?」僕が言った。
「そうだな、あれ以来一回も行ってないんだ。たまに行きたいなスキー」何だか可愛そうになり、叔父とスキーに行く事にした。
「俺は今回ボードで行くからさ」そう言うと僕は電話を切った。
次の日曜日、叔父が車で迎えに来た。久し振りにスキーへ行けるという事で叔父は、妙にテンションが高かった。
リフトから降り、何も言わずに叔父が先に滑り出した。毎度の事である。後から僕が付いて行くのだが、明らかに十年前よりも、叔父のスピードは遅くなっていた。これなら、はぐれる心配もないと思った。
「お前のボードは早いな」
「そんな事ないよ。前と同じだよ」
「と、言う事は何か?俺が遅くなったって事か?」と不機嫌そうに叔父が言った。
「歳には勝てないって事じゃないの?」
「ふん、まだ感を取り戻してないだけだ。直ぐに慣れるさ、まだ一本目だしな」
長い間まとまった雪が降っていないせいか、所々ゲレンデはアイスバーンになっていた。
何本か滑り、リフトから降りて僕がボードを装着している間に叔父は僕の方を見て一瞬ニヤけると、物凄いスピードでコースを滑り降りて行った。まるで僕とはぐれる事を期待しているかの様だった。
叔父の後を追うと、コースは二つに分かれていた。どっちのコースへ行ったのか分らない。仕方なくコースの一方を選び、下迄行ったが、叔父の姿は何処にも見えなかった。携帯を使えば良いのだが、叔父が出るはずがない事は百も承知である。

つづく

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