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最終更新日:2024年03月28日
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第131話 「変身」

会社に来客があった。三十代前後の夫婦で、小学生ぐらいの女の子を連れていた。
体格が良く、着ているトレーナーは随分と横に伸びていて少しきつそうに見えた。赤くて大きなホッペは今にも落ちそうだ。
用件は、飲食店を始めるので、チラシや看板のデザインを頼みたいとのことだった。早速、製作担当が打ち合わせを始めた。お店のロゴ、チラシ、名刺に看板と打ち合わせを進めて行く。
女子社員が、コーヒーとオレンジジュースをそれぞれに出した。午前中に来た仕入れ先の業者が、お土産として持って来たお菓子を、女の子に渡した。
「ありがとう」と、とても嬉しそうな顔をして女の子は受け取った。
少しして打ち合わせをしていた製作担当が女子社員のところにやって来た。
「あのお菓子って、まだあるの?」
「はい、ありますけど・・」
「あの子がさ、さっき食べたお菓子をまた食べたいって言ってるんだ」
女子社員は、冷蔵庫からお菓子を取り出して渡した。
また暫くすると、製作担当が女子社員のところへやって来た。
「ご免、お菓子もう一個ちょうだい。ジュースとね」
「えっ?良いですけど、お腹壊しませんかね。子供にしたら結構な量ですよ」
「俺も心配して親に言ったら、あのぐらいのお菓子なら、いっぺんに五、六個は平気で食べちゃうんだって、それにあの子、小学生だと思わなかった?」
「はい、三、四年生ぐらいに見えましたけど・・・」
「だろ?でもまだ幼稚園児なんだってさ」
「私ぐらい体重ありそう」
「いや、それ以上かもよ」
女子社員がお菓子とジュースを持って行くと、女の子は、嬉しそうにお菓子の包みを開け出した。それを見てニッコリ微笑みながら、女子社員は言った。
「可愛いトレーナーだね。くまさんかな?」
その瞬間、女の子が泣き出してしまった。突然の出来事に社員の二人が困惑していると、母親が言った。
「熊じゃなくて狐なんです」

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