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最終更新日:2024年03月28日
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第133話 「叔父9」

スキーで足を骨折した叔父を見舞いに病院へ行った。
病室に行くと、叔父の姿が何処にもない。
「○○さんかい?多分隣りの病室に居ると思うよ」と初老の男性が僕に言った。
「息子さん?」
「いえ。甥です」
「ああ、それじゃ一緒にスノーボードに行った人だね。でもあの歳でスノーボードをするなんて凄いね。ジャンプした時、着地に失敗して足を折ったらしいけど、凄いよね。若いんだね。考え方がさ」
「精神年齢はかなり低いと思いますよ。家族や僕も含めて、今度は何をやらかすか、ハラハラの毎日ですから」僕がそう答えると、病室中が笑いに包まれた。
隣りの病室に行くと、そこにも叔父は居なかった。
「さっきまで、ここで花札してたんだけど、全員やられちゃったよ。隣りの病室じゃないかな?」
僕が隣りから言われて来たと言うと、更に隣りだとの事。もう一つ隣りの病室に行くと、喫煙室へ行ったとの事だった。
一階の喫煙室に行くと、松葉杖をついた叔父が、ちょうど部屋から出て来た。
「ボードして足折ったって皆に言ってるの?」
「おお、そうだ。スキーして足折ったって言うより、格好良いべ」その時、看護士さんが来て言った。
「あっ、○○さん。ちゃんと寝てなきゃダメでしょ」
「はいはい、分かりました」
「おい、ここのホステス結構良いべ?」と僕の耳元で囁く様に言った。
「看護士です!」
今度は病院の先生らしき人が向こうから歩いて来た。
「あっ○○さん。見て来ましたよ。環境的には文句ないですね。今度の日曜日に家族でもう一度見て来てから決める事にします」
「あの物件は絶対にお勧めだよ。子どもにも良い環境だしね」
「そうですね。多分買う事になると思います」そう言い残すと先生は立ち去った。
「病院で営業してるの?」
「そうよ、病院の先生だもん、良いお客にしなきゃ勿体無いだろ」さすが叔父さん。
転んでもタダでは起きない。

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