求人君

北海道【札幌・旭川・函館・苫小牧・釧路・帯広】のお仕事探しに求人君
最終更新日:2024年04月19日
最終更新日:2024年04月19日
TOP  > KonなんどうでShow!  > 第135話 「お見舞い2」

第135話 「お見舞い2」

病室に行くと、相変わらず元気で同室の人と花札をしていた。
「マー坊。よく来たな」
「血吐いたって聞いたけど、大丈夫なの?」僕が聞いた。
「今度は胃潰瘍だってよ。胃カメラは飲まされるし、口から血が噴き出すし、もう死ぬかと思ったぞ」
「手術はしたんですか?」
マーちゃんが聞いた。
「手術なんて大袈裟なもんじゃなくて、口からくだみたいなの突っ込んで、止血したらしいぞ。今、ピロピロ菌を殺す薬飲んでんだ」
「ピロリ菌でしょ」
「ああ、それそれ」
マーちゃんが手にしている袋を見て叔父が言った。
「美味そうなもん持ってるな、毎日お粥ばっかり食わされて、うんざりしてたんだ。それ食うべ。なっ」
「まだダメじゃないんですか?」マーちゃんが言った。
明日の朝から普通に食事が出来るとの事だが、内科の病室では食事制限があり、他の人は食べられないので、前に居た外科の病室へ行く事にした。
叔父なりの気遣いだった。
廊下を歩きながら叔父が言った。
「内科は嫌だな。さっき俺が花札してた人は癌なんだ。毎日どういった心境で生きてんだろうな・・」叔父が珍しく真面目な話しをした。
叔父が居た以前の病室へ戻ると、大歓迎を受けた。
マーちゃんがお小遣いで買った事を僕が叔父に伝え、お見舞を渡した。叔父は礼を言い、病室の皆とたいやきを食べながら言った。
「小遣いは、貯金なんかしたらダメだぞ。金は天下の回り物って言ってな、使わなくちゃダメなんだ。皆が使って初めて景気が良くなるんだ。損して徳を取れって言う様にな」
「損と徳はどんな割合ですか?」マーちゃんが聞いた。
「四分六ってとこかな」
「損が四ですか?」
「いや損が六だ」
「・・・おじさん・・よく今迄生きて来れましたね」
「そりゃ、あたしがしっかりしてるからさ」病室に響き渡る声で叔母が言った。
ドキリとした叔父は肩をすぼてめ振り向き様に言った。
「あら来てたの・・どう?たいやき・・・食べる?」

エリア
カテゴリ
こだわり
雇用形態