ある日、友達の家に遊びに行くと、首にギプスをはめ、痛々しい姿で友達が出て来た。
車で信号待ちをしていると、後ろから軽自動車に追突されたとの事だった。
首が痛い上に頭痛も酷く、耳鳴りもするとの事で、かなり悲惨な状態だった。
ここ何日か仕事も休んでいると言う。
そんな状態にも係わらず、何故か上機嫌と言うか、浮かれている様な感じだった。
「俺も悪かったんだよ。変な止まり方をしたからさ」
と妙な発言。
「急ブレーキでもかったのか？」と僕が聞くと、違うと言う。
「うん？お前、赤信号で止まってたんだよな。変な止まり方ってどう言う事よ」
と更に突っ込んで聞く。
「いや、まあ何となく俺も少しは悪かったかなって」
と、どうも様子が変だ。
「警察には届けた？」
「うん。相手と一緒にね。でも警察にも変な止まり方しなかった？って聞かれたよ。これからその相手が来るんだ」と、友達が言ったちょうどその時、玄関でチャイムが鳴った。
何故か友達は、嬉しそうに玄関に掛かっている鏡を見ながら、手櫛で髪を整えると、急いでドアを開けた。
そこには、もの凄い美人が菓子折りを持ち、申し訳なさそうに立っていた。
それを見た僕は思わず言った。
「すいませんね～っ。こいつが変な止まり方したもんで」