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最終更新日:2024年04月25日
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第141話 「叔父10」

叔父から電話が掛かって来た。
「おい、今度の日曜日に花見するべ」
「花見って普通の花見?」
「今回は俺に似合わず普通だな」よく分かってる様だ。
「何処でやるの?」
「家の庭でよ」当たり前の様に叔父が言った。
「桜の木、あったっけ?」
「昨日買ったんだけど、結構蕾持ってんだ。天気が続く見たいだから、今度の日曜日あたりが見頃だぞ」
次の日曜日、僕は叔父の家へ行った。
広い庭の何処を見渡しても桜の木が見当たらない。僕の様子を見て察した様に叔父が言った。
「ここだ」
叔父が居る方を見ると、薄紅色の花が沢山咲いている木があった。
「・・・これ桜?ちょっと小さくない?」叔父の腰あたり迄しかない。周りにあるツツジの方がずっと立派で綺麗な花を咲かせている。
「こんな小さくても花が咲くんだ。それに三本も・・。叔父さん、桜って大きくなるんだよ」
「大きくなりゃ上を切って芯を止めりゃ済む事だ」
「駄目だよ。そんな事したら枯れちゃうよ。桜切る馬鹿。梅切らぬ馬鹿ってことわざがあるくらいだからさ」
「梅は切っても良いけど、桜は駄目って事だな。そっか・・・。お前いらんか?持ってけ、この桜」
「家は去年叔父さんから来たツツジがあるから要らないよ。植える所も無いしさ」
「そっか・・・。まあ、その内にどうするか考えるか」
結局は花よりダンゴと言う事で、近所の人達も加わり、焼肉に海産物とお腹いっぱい食べる事ができた。
今回は本当に普通で何事も起こらず、楽しい一日を過ごす事が出来た・・はずだった。
次の日の朝、妻がベランダ越しに庭を眺めながら僕に言った。
「あれ?・・・あそこにあんな小さな木あったっけ?」
側に行くと、木の枝に手紙が付いていた。叔父の字だ。
(私、桜子です。お庭に新しく梅子ちゃんが来るので、私はここの家に捨てられました。宜しくお願いします)
今年、一回り大きくなった養女の桜子は、我が家の庭で沢山の花を咲かせた。

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