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最終更新日:2024年04月19日
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第142話 「手癖」

久し振りに中学校の時の友達三人で酒を飲み、懐かしい話しで盛り上がった。
「こいつさ、手癖が悪くて、何回も万引きで捕まってたよな」とAが言った。
「そうそう、こいつのお陰で、俺達まで疑われてさ、大変な目に合ったもんな」僕が言った。
「うちの親なんか、あの子と遊んだら絶対ダメ!なんて言ってたからな」とA。
「うちの親も、B君は家に絶対入れないで!って言ってたもんな」と僕。
「そうそう、俺の家もそうだった」とA。
「何で?そうだったの?俺って出入り禁止だったんだ。だから、よく俺の家で遊んだのか。でも何で?何で出入り禁止になったんだ?」
「家の物が無くなるからだ」
僕とAが口を揃えて言った。
「あっ、そうか、バレてたのか。いや、ホント皆に迷惑掛けたよな。悪かったと思ってます。はい。でもあの頃からお前達って正義感って言うか、曲がった事が嫌いだったよな。俺いつもお前らに怒られてたもん」とBが背中を少し丸め、上目遣いで僕らの顔を見る姿は、中学の時と同じ目をしていた。懐かしく感じるのと同時に、嫌な感じもした。
「正義感とかじゃなく、当たり前の事だろ。もうあの手癖の悪いのは治ったんだろうな?」とAがジョッキのお代わりを受け取りながらそう言った。
「俺だって結婚して女房子どもも居るんだぞ。そんな馬鹿な事はもうしないよ」
「そうだよな、今は会社じゃ課長だっけ?社会的立場もあるし、課長が万引きで捕まったなんて事になったら、洒落になんないもんな」Aが言った。
「今は真面目なもんさ」とBは笑いながら言った。
居酒屋での腹ごしらえも済んだので、Aが行き着けの店で二次会をする事にした。
帰り際、Bが上着のポケットからみかんを取り出して、僕らに渡した。
「おっ、サンキュー」Aはみかんを一口食べて言った。
「なに、わざわざ買って来たのか?」
「いや、ここに来る途中、スーパーの店頭にあったの貰って来たんだ」

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