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最終更新日:2024年04月25日
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第144話 「本屋のおばさん」中編

本屋のおばさんに『ジョーズ』を読み終えた事を直ぐに伝えたくて、僕はノートと文庫本を持って店へ行った。
「あら、凄いね。本当に読んじゃったんだ」おばさんは僕が書いたノートを見て驚いた様子だった。
「これって大変な作業ね。友達ともあんまり遊んでないんじゃない?冬休みの宿題とかも、ちゃんとやったの?」
僕が自由課題をまだ終えてない事を言った。
「そう、それってもしかしたら、おばさんのせいかしら?なんだか少し責任感じちゃうな。でもこの際せっかく頑張って本を読んだんだから、明日迄に感想文書いて見せてちょうだい。
ちゃんと原稿用紙に書いてね。おばさんも今日中に読み終えておくから」
「感想文も書くの?」と驚いて僕は思わず聞き返した。
「そう、ついでじゃない。君がやった事を、きちんと形にしなくっちゃ、ここ迄やった意味がないじゃない」
「感想文って普通は感動した本とかで書く物でしょ?ジョーズじゃ書けないよ」
「感動文じゃないのよ。感想文よ。自分の思った事をそのまま書けば良いのよ」
『ジョーズ』で感想文・・。
僕は学校の宿題も終わっていないのに、またおばさんと約束をした。何故かおばさんには、ちょっと良いとこを見せたかった。
次の日の朝、僕はおばさんの昼休み目掛けて読書感想文を提出した。
おばさんは何だかとても嬉しそうにして読んでいた。そして一通り読み終えると言った。
「良く書けてるね。でも一つだけ惜しい処があるよ。ここの行に君の感想を入れるともっと良いと思うよ」
と言っておばさんは赤ペンで印を付けた。
その事を僕が納得して、また持って来ると言うと「今度はこの感想文とノートを学校に提出しなさい。これって立派な自由課題だよ」
こうして僕は学校の先生に怒られるのではなく、逆に褒められる結果となった。
今思うと、パニック映画の原作で感想文とは、先生もさぞや驚いたに違いない。

つづく

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