社内では羽賀にガンダムの話しをするのは、御法度になっている。話しが止まらなくなるからだ。
だがある日、女子社員がその地雷を踏んでしまった。
「ガンダム知らないの？いいか、ガンダムって言うのはだな・・」山本は慌てて女子社員に言った。
「こ、この前頼んだ資料どうなってる？」
他の営業マンも逃げる様にして会社を出て行った。
その後一週間、彼女は毎日昼休みに、びっちりガンダムの話しを聞かされるハメとなった。
それから数日して、羽賀が興奮気味に山本に言った。
「完成だ、完成したぞ」
「何が完成したんすか？」
「ガンダムだ！」
「ああ、プラモっすか」
「等身大のガンダムだよ」
「ありえないっすよね。そんな事」
「バカ！プラモじゃないよ。お台場に等身大のガンダムができたんだよ」
「またまた、ガンダムって何メートルあるんすか？」
「18メートル」
「・・・・嘘でしょ」
山本は羽賀にホームページを見せられ納得した。
「おっ！凄いな。誰が操縦するんだ？」ホームページを見て加藤が言った。
「えっ？これって動くんすか？」と驚く山本。
「動く訳ないだろ！でも頭と手が動く」
「それじゃ、ただのでっかいプラモじゃん。ホンダに頼めばいいだろ。二足歩行はホンダが一番だ」と加藤。
「18メートルのアシモって怖いっすよね。故障とかしてその辺走り回られたら、ゴジラ並の破壊力っすよ」と笑いながら山本が言った。
「夜にライトアップとかするみたいですよ」と羽賀。
「ライトアップ？ふん！そんなもん東京タワーの方がずっと良いわ」と加藤。
「来月の連休に見て来ます。もう飛行機もホテルも予約しちゃいました」と上機嫌で羽賀が言った。
「そう言う事だけは早いのね。仕事もそうだと良いんですけどね」と加藤。
その時、女子社員が言った。
「来月って言いました？でも、ここに今月いっぱいって書いてありますよ」