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最終更新日:2024年04月19日
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第158話 「叔父12」

叔父からの電話だった。
「チンチロリン(叔父の所で飼ってる犬の名前)が居なくなったんだけど、掲示板に載せてくれんべか?」
「えっ?良いけどさ、いつから居なくなったの?」
「今朝からなんだ。雑種だけど人懐こいし、めんこいもんだから、誰かに連れて行かれたんでないべか」親バカと言うか、飼い主バカである。
「あいつ、結構でかいし、繋いである犬を鎖まで外して誰も連れて行かないって」
「今迄も何回か離れた事あるけど、すぐ戻って来てたんだぞ。家の奴も可愛がってたから、チンチロリンに何かあったら俺殺されるぞ」
「うん、殺されるまで行かないでも、半殺しは確実だね。叔母さん知らないの?」
「昨日の夜、ばあさん所に行った。もう帰って来るな。ちょっと近所探して来るわ」
そう言うと電話は一方的に切れた。
気になって叔父の所に行くと、叔父は近くの公園で犬の名前を大声で叫びながら探していた。
「チンチロリーン!チンチロリーン!」聞いていて恥ずかしかった。
公園で遊んでいた親子連れが笑いながら叔父を見ている。
僕も探そうとしたちょうどその時、叔母が帰って来た。
「チンチロリンが居なくなったんだ」叔父が言った。
「あら、あんた夕べ斉藤さんの所に行く時連れて行ってそれからどうしたの?」
「あっ!俺帰りにションベンした時に・・・あら!」
と言って叔父は何かを思い出した様に走り出した。
叔父の後を小走りに五分程追うと、電柱に繋がれ、炎天下で暑そうに舌をハアハア出しているチンチロリンが居た。
叔父が慌てて綱を外すと、誰のせいでこうなったのかを分っているかの様に叔父には目もくれず、一目散で叔母と僕の元へ走って来た。
叔母は頭を撫でながら言った。
「可哀想にね~暑かったしょ。後で何か美味しい物あげるからね。ご免ね」
斉藤さん所で飲み過ぎたと言って苦笑いしてこっちへ歩いて来る叔父を叔母が睨み付けると、大声で怒鳴った。
「待て!あんたも一晩そこに居なさい!」

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