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最終更新日:2024年03月29日
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第169話 「信頼2」

 時計を見ると、12時を少しまわっていた。Aの顔を見ると何だか眠そうだ。
時間的にも電池切れの様だ。
「お前が怪しいって言うんなら、奥さんと話し合ってみろよ。思い過ごしに終わると思うけどな。12時過ぎたし、そろそろ電池切れだろ」それから間もなくして僕らは居酒屋を後にした。
Aと会って一週間程が過ぎた頃だった。ある用事を終えての帰り道、コンビニに立ち寄って驚いた。Aの奥さんが働いていたのだ。
ちょうど他に客も居なかったので、話す事が出来た。
「このご時世でしょ、あの人の給料も減らされちゃって、私がパートに出るって言ったら猛反対で・・・」
これで全容が明らかになった。
僕はAの事はあえて話さず店を出た。その足でAの家の前からAに携帯を掛けた。
12時を過ぎていたので勿論Aは夢の中である。
長い事携帯を鳴らし続けると、寝ぼけた声でAが出た。
「おい、今直ぐ服着て出て来い」僕が言った。
「なに・・?どうした?」
「いいから早く来い」とだけ言って僕は携帯を切った。
Aを車に乗せると、僕はコンビニへ向かい、店内が良く見える所に車を止めた。
「店ん中、良く見てみろ」
店内では奥さんが、新しく到着した商品を一生懸命に品出ししている姿が見えた。
それを見たAの体は凍り付いた様に固まった。
暫く沈黙した後、僕が言った。
「週3回ここでパートしてたんだよ。エンジンの音でお前を起こしちゃ悪いと思って、ここまで歩いて通ってるんだ。今、車で測ったら、お前の家から2キロだ」
「俺、恥ずかしい・・・。あいつを信じてやれなかった・・・。俺が甲斐性無いばっかりにこんな苦労させて・・。体だって丈夫じゃないのに・・・」
店内からこぼれる明かりが車内を照らし、Aの顔がハッキリと見えた。
大粒の涙がAの頬をつたっていた。
暫く車内で沈黙が続いた後、Aが涙を拭きながら僕に言った。
「300円貸してくれ」
僕が黙ってお金を渡すと、Aはニッコリ笑って言った。
「あいつの好きなプリン買って来る」

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