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最終更新日:2024年04月19日
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第170話 「叔父13」

運が良いのか悪いのか、叔父と一緒に居ると、常識ではあり得ない様な事が度々起こる。
この日もそうだった。
叔父の車で釣り場へと向かう途中、パンクした。路肩に車を止めてタイヤ交換をする事になった。
「このスペアタイヤって応急用のでしょ?これで長距離ってきつくない?」
「大丈夫だべ」脳天気な声で叔父が言った。
今日は日曜日。スタンドは殆ど閉まっている。
ちょうどその時、古タイヤを満載したトラックが車の後ろに止まった。
「なに、パンクかい?」
トラックの運転手はこっちに歩いて来るとそう言った。
「これと同じ車の人が、車を買い変えるからタイヤ要らないって置いて行ったのがあるんだわ、見たらまだまだ使えるやつなのさ。一本置いて行くかい?」
「そりゃ助かるわ」
トラックの運転手がタイヤを取りに行こうとした時、僕がホイールの事を聞くと、普段なら外すのだが、何かの手違いで一本だけ付いてるとの事。叔父が値段を聞くと、廃棄にお金が掛かる為、逆に助かると言ってお金を受け取らなかった。
今履いてるタイヤより新しいと、上機嫌の叔父。
「俺、ちょっとへそくり下ろして行くから」と言って、ATMを使う為に銀行の駐車場へ入る。
入り口で駐車券を取り、中に入ると、日曜日にも関わらず結構な車が止まってた。
用事が終わり、叔父が運転席の窓を開けて出口の機械に駐車券を入れようとした時だった。
「あらら、おい」
風が吹いて駐車券が何処かへ飛んで行ってしまった。
後ろには車が何台か並んでいるが、駐車場のバーは閉じたまま。
『駐車券を入れて下さい』
「うっせえな。これでも食ってろ」と言って叔父が何か紙切れを突っ込んだ。
『有難うございました』駐車場のバーが開いた。
僕は驚き、何を入れたか聞いた。
「俺の名刺だ」
絶対に嘘だと思うが、とにかく何かを入れたら開いたのは事実だ。
「俺の名刺は万国共通だ」
叔父と居るといつも思い出す。
『人間万事塞翁が馬』まさに叔父の為にある様なことわざだ。

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