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最終更新日:2024年04月25日
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第177話 「天体望遠鏡」

僕が子どもの頃、天体ブームがあって、親にせがんで天体望遠鏡を買って貰った事があった。
天体望遠鏡と言っても、所詮は子どもが使う物だから、おもちゃに毛が生えたぐらいの代物で、一番良く見える星といったら月くらいだった。
「おっ!凄え!月がハッキリ見える」
近所の同級生が数人集まり、毎日の様に月の観察をしていた。
ある満月の日の出来事だった。友達の一人が望遠鏡を覗きながら言った。
「うん?これ何だ?あっ!動いた!あっ、こっちにも」
皆で奪い合う様にして望遠鏡を覗き込む。
「UFOだ!UFOがいる」
大きく光り輝く月をバックにオレンジ色に輝く物体がレンズの中で不規則に上下左右に移動していた。
「月にUFOの基地があって、これから地球を侵略しようとしてるんだ」
「うん、前に木曜スペシャルで見たよ。月に宇宙人の基地があるって」
「この事は俺たちの秘密にしよう」
リーダー格の友達が言った。
「何で秘密にしなきゃならないんだ?」
「バカだな、俺達が言ったら宇宙人に殺されちゃうかも知れないだろ」
「うん、宇宙人にさらわれた人がいるって木曜スペシャルでやってたもんな」
この晩、怖くて眠れなかった事を今でも憶えている。
その後も、何度か望遠鏡でUFOらしき物を見たが、その内飽きて見なくなった。
子どもに天体望遠鏡を買ったと言う友達の話しを聞き、懐かしさのあまり、この話しをした。
「へ~っ、それって凄いな。本当にUFOだったのかな」
「レンズに付いたゴミかも知れないし、今となっちゃ何だったのか分からないな。でも何かが見えた事は確かだし、UFOだって信じたいね」
一ヶ月ほどして友達から電話が来た。
「月を見続けてから一ヶ月以上経つけど、UFOが見えないぞ!子どもにUFOが見えるって言った手前、見えないと俺の面目がたたん。一ヶ月に何回位見た?」
どうやら話す相手を間違えた様だ。

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