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最終更新日:2024年04月19日
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第180話 「マイホーム」

長い間中古物件を探している友達に会った。
「家を探すなら築何年とか、スーパーや学校が近くにあるかとか、環境を重視するもんだろ?」僕が言った。
「そうだよな。ちょっと気にし過ぎるんだよな」
「でも、今住んでる借家は満足してるんだろ?」
「それがさ、後五年以内に出なきゃなんないらしい」
「らしいって、また奥さんか?何で?」
予想は付くが好奇心から聞いてみた。
「五年以内にこの家を出ないと子どもが大病するって言ってた」
僕は大きな溜息を付いた後、言った。
「中古に拘らないで新築にしたら?中古物件を十年も探してる内に金も貯まったろ?中古より土地を探す方が、はるかに楽だと思うぞ」
「おっ、そうだな。新築だったら、自分の好きな家も建てられるし、全てが上手く行きそうだな。何で今迄気が付かなかったんだろ」
彼は昔から自分の意見を持たない人間で、どんな時も、相手の意見に合わせて生きて来た。優しいと言えばそれまでだが、はたから見ると、煮え切らないタイプで何時もイライラさせられた。
そんな人間が結婚をしたのだから、嫁の尻に敷かれるのは当然の事だった。
後日、気になる土地が見つかった様で、何故か僕も一緒に見に行く事になった。
その土地は閑静な住宅街の中にあり、日当たりも良くとても良い場所だった。
「こんな良い所、滅多にないよな」と彼は僕に言った後、奥さんに言った。
「ここに決めようか?」
「ダメ!ここには霊が・・」
その瞬間、彼はブチ切れた。
「いい加減にしろ!こんな状態で十年も俺は付き合わされて来たんだ!お前が家が欲しいって言うから探してるんだろ!今度は何だ?霊だ?何ならお前もここの自縛霊にしてやるか?」
ここまで友達が怒り心頭する場面を僕は始めて見た。
その後、この土地を買い家を建てて三年経ったが、彼の家族には何事も起こっていない。
あえて言うなら、彼が少しだけ亭主関白になった事だ。

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