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最終更新日:2024年04月25日
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第184話 「起死回生」

友達四人で久し振りに飲み会をした。
「最近、どうよ。景気の方は?」焼き鳥の串をつまみ、多過ぎたタレを皿の縁で拭い取りながらAが言った。
「聞くに及ばずってとこだろ」箸の先に乗せたワサビを醤油皿の上でグルグル回しながらBが言った。
「そうそう、Dの会社はもうヤバイらしいぞ」とA。
「公共工事がなくなって土建業は大変だもんな」とB。
「でも、ヤバイヤバイって言われ続けてもう二年位経つんじゃないか?」と僕。
「そうなんだけど、今度こそダメらしいぞ。
人も殆ど整理したってさ」とA。
「親子三代続いた会社も終わりってとこか」とB。
「このご時世、景気が良いって言う業界があれば、お目に掛かりたいもんだな」白身魚のフライを頬張りながらCが言った。
「ここじゃないか?平日も予約しないと入れないんだからさ」と僕が言った。
「もう、オープンしてから一年以上経つよな。
それにまた来月三件目の姉妹店が出来るそうだしな」とC。
「凄いな、また結構料理も美味いもんな。
値段は少し高めだけど、割烹ほどは高くないし、良いよな値段設定も、ちょい高めの居酒屋って感じでさ」とA。
その時だった。
見覚えのある顔が僕らの方へと近づいて来た。
それを見てかなり酒が回ったAが言った。
「凄い偶然だな。今、お前の話しをしてたんだよ。
会社ダメになったんだってな。元気出せよ。
俺達で出来る事があれば力になるからよ」「いや、細々とやってるよ。
景気が悪くて殆どの社員をこっちの店に回したんだ」
「こっちの店?」全員が口を揃えて言った。
「最初は慣れない仕事で大変だったけど、皆頑張ってくれてここまで来たんだ」
「何の事だ?」僕らの考えをAが代表して言った。
「あっそっか、知らなかったのか」と言った後で、昔から洒落っ気のあったDは悪戯っぽく笑うと、深くお辞儀をしてこう言った。
「この度は当店をご利用頂き誠に有り難うございます」

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