求人君

北海道【札幌・旭川・函館・苫小牧・釧路・帯広】のお仕事探しに求人君
最終更新日:2024年04月19日
最終更新日:2024年04月19日
TOP  > KonなんどうでShow!  > 第186話 「面倒な店」

第186話 「面倒な店」

家の近くにラーメン屋がオープンしたので妻と二人で食べに行った。
暖簾をくぐり、ドアを開けると客は誰一人居なかった。
「いらっしゃいませ~」
大きな声で店主と思われる男性が僕らを見て言った。
店内入って右側には十人程座れるカウンター席が在り、左側にある小上りには、四人程座れるテーブルが三台あって、席ごとについ立てで仕切ってある。
僕らは店主に促されるままカウンター席に着いた。
「ご注文が決まりましたらお知らせ下さい」
奥さんと思われる女性が急に現れ、こう言うと、僕らの前に を置いて店の奥へと消えて行った。
壁に貼ってあるメニューのプレートを見回し、注文を決め、カウンター内に居る店主に声を掛けた。
「注文いいですか?」と迄僕が言った時、店主は奥に居る奥さんに大声で言った。
「ハ~イ。注文入りました」
すると店の奥から声がした。
「ハ~イ。お聞きしま~す」と言って奥さんが走って来た。
僕ら以外に客は居ない。
僕が注文をすると、また大声で奥さんが言った。
「注文入りま~す」
「ハ~イ。かしこまりました」と店主。
静かな店内に二人の声だけが響き渡る。
「どうですか?味の方は?」
ラーメンを二口程すすったとこで店主が言った。直接一般客に味の事を聞く店主は初めてだった。
「美味しいですよ」
「そうでしょう。うちはムカチョウですから」
「無課長?」
何の事か分からなかった。
「化学調味料を一切使ってないって事です」
「ああ、無化調ってそう言う事ですか」
その後も店を出す前に日本全国のラーメン屋を周ったと言う話しを延々と聞かされた。
僕が思い出した様に餃子の注文をすると。
「ハ~イ。注文入りました」
「ハ~イ。お聞きしま~す」
「注文入りま~す」
「ハ~イ。かしこまりました」
一々面倒臭い店だと思った。
帰り道の途中。妻がぽつりと言った。
「味の素って化学調味料だよね。大袋が厨房の鍋の横にあったけど・・・」

エリア
カテゴリ
こだわり
雇用形態