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最終更新日:2024年04月19日
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第189話 「マーちゃん9」

スーパで妻と二人で買い物をしていると、見た事のある子どもが、体とは不釣り合いな大きなスーパーの買い物カゴを手に、店内を うろついていた。
「マーちゃん」
僕が声を掛けると驚いた様にこちらを振り向いた。
「あっ!こんにちは。こんなとこで会うなんて奇遇ですね」
友達の子どもである小学五年生のマーちゃんは驚いた様子で言った。
「お父さんは?」
「僕一人ですよ。自転車で来ましたから」
マーちゃんの家からここ迄往復十キロ以上はある。
「今日はここのお店、お肉がとても安いんですよ」
「そうそう、こんな安いの滅多にないんだよね」
側に居た妻が言った。
「だからって・・・」
「今月はお父さんが、歓迎会や送別会でお金を沢山使ったんで、生活費が少ないんです。でも仕方ないです。大人には大人の付き合いがあるから」
「お父さんはこの事知ってるの?」妻が聞いた。
「知らないと思います」
「俺から言っておいてやるよ。子どもにこんな心配させるなって」
「いんです。お父さんに貰った生活費の中でやりくりするのが僕の仕事ですから」
「仕事って、小学生は勉強したり遊んだりするのが仕事だよ。こんなのお父さんに任せておけば良いじゃん」
「普通の家庭はそうかも知れませんけど、僕の家はお母さんが居ないから僕がその代わりをしなくちゃならないんです」
その時だった、マーちゃんの父親が血相を変えて店の中に入って来た。
「お前、ダメじゃないか!こんなとこ迄来ちゃ」
僕は今迄の事を話した。
「ゴメン。俺が悪かった」と余程心配した様で友達の目には涙が浮かんでいた。
「どうしてここだって分かったんですか?」
マーちゃんが不思議そうに聞いた。
「ここの店のチラシがテーブルの上にあったからさ」
自転車を車に積む際にマーちゃんが僕に小声で言った。
「お父さん反省してますね。結果オーライって事ですね」

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