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最終更新日:2024年04月19日
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第194話 「叔父15」

叔父は思い立ったら考える前に実行に移す。それが良い場合とそうでない場合がある。
「何?また改築してるの?」
家の前に止まっている建築会社の車と、玄関前に置いてある建設資材を見て僕が言った。
「うん。息子も独立して、この先婆さんと二人きりだし、もっと住みやすい様に改良しようと思ってな」
「何処をどう直すのさ」
「二階のトイレを潰してだな、俺の書斎とくっつけ様と思ってな」
その時、叔母が側に来て言った。
「使いもしないのに、書斎なんて贅沢だよね」
「俺だってこれからは、誰にも邪魔されない様に書斎でゆっくりと読書でもしたいんだよ」
「よく言うね。暇さえあれば飲みに行ってるくせにさ」叔母が言った。
「これからは老後の為に少し金を貯めなきゃならんし、飲みにだって、そうそう行ってられやせんからな」
「老後の為って、もう老後じゃん」僕が言った。
「そうだよね。もう老後だよね。間違いなくさ」叔母が大笑いしながら言った。
その時、業者の人が二階から降りて来て言った。
「これは何処に付けましょうか?」手には、何やら銀色に光る球体を持っている。
「え?何それ・・・もしかしてミラーボール?」
僕が驚いて言うと、不動産業を営む叔父は少し照れくさそうにして言った。
「スナックのママから頼まれてな、店を閉めるから物件を買ってくれって言われて、建物も古いから取り壊す事になったんだ」
こう聞くと、改築中の部屋がもの凄く気になった。まだ叔母も見ていないという改築中の書斎を見て、僕と叔母は唖然とした。
部屋全体が黒っぽい壁紙で覆われ、カウンターがあり、赤い椅子が数脚置いてあってボックス席まである。まるでスナックそのもの。
「俺は、こう言う部屋がやっぱり落ち着くんだ。後はめんこい・・・」
「お姉ちゃんでしょ」僕と叔母が声を揃えて言った。

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