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最終更新日:2024年04月12日
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第205話 「マーちゃん11」

友達の家へ行ったら、息子である小学五年生のマーちゃんが僕を出迎えた。
「虫は嫌いですか?」
「何?カブトムシか?」
「そんなポピュラーなものじゃなくて、もっとマイナーなものなんですけど・・」
「スズムシとか?」
「もっとマイナーですね」
「うん?何だろう・・あっ、カタツムリとか?」
「少し近づいて来ましたね。這いずりものですよ」
「分からないな。何だろう」
「ちょっと待ってて下さいね」と言うとマーちゃんは自分の部屋から、何やらプラスチック製の飼育ケースを持って来た。見るとキャベツが入っていた。
「やっぱりカタツムリだろ」
「違うんですよ。良く見て下さい」
そう言われ、プラスチックケースをよく見ると、青くて大人の親指大の芋虫がキャベツの裏側にへばりついていた。
「アゲハ蝶の幼虫です。こういうの大丈夫ですか?」
「うん。俺は平気だよ」
「夏休みの自由研究の題材にしようと思いまして」
「良いね。でも夏休みが終わる迄に蝶になるかな?」
「そこなんですよ。問題は」
それから一週間ほどしてマーちゃんから電話が掛かって来た。あれから翌日にサナギになったとの事だった。
「今見たら、サナギの背中が割れて蝶が少し出て来ました」
「そうか、ちゃんと観察記録は付けてる?」
「はい、でもデジカメが調子悪くて写せないんです」
僕は自宅にあったデジカメを持ってマーちゃんの所へ飛んで行った。
サナギを見ると、背中の裂け目から、黒い蝶らしき物が出て来ていた。
「黒アゲハみたいですね」
「うん、そうだな」
マーちゃんはその間も一生懸命に写真を写している。
かなり時間がかかって、やっとサナギから抜け出した。
「あれ?アゲハ蝶にしたら、ちょっと小さくないか?」
「子どもだからじゃないですか?」
その時、蝶は閉じていた羽を大きく広げた。その瞬間マーちゃんと僕は顔を見合わせた。
「蛾・・だなこれは・・・」
「そう見たいですね・・」

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