お菓子をたくさん買って友達の家に遊びに行った。
今年、五歳になった娘へのお土産としてだった。
「いつもこんなにたくさん頂いてすみません」と恐縮気味に奥さんが言った。
「ちゃんとありがとう言ったの？」友達が女の子の頭を触りながら言った。
「いつもたくさんお菓子をくれてありがとう」
女の子は満面の笑みを浮かべてそう言と、ぺこりと頭を下げた。
「どう？毎日お利口にしてる？」僕が聞いた。
「うん、ミッチはいつもおりこうにしてるの。ママに怒られるから」
「そっか、ママは怖いの？」
「うん、すっごくすっごく怖いの」
「そっか、パパは？」
「パパは怖くないよ。ミッチのパパは優しいから。ママが怒るのはミッチだけじゃないんだよ。パパにも怒るんだよ。この前も怒られてたからさ、ミッチよりパパの方がお利口にしてないんだよ」
「そっか、じゃあパパよりミッチの方がずっとお利口なんだ」
「そう、ミッチの方がこんなにこんなに、こ～んなにお利口なんだよ」
手を頭の上で序々に広げ、飛び跳ねながら女の子は言った。
そして、あぐらをかいて座っている僕の足に座ると、下から顔を覗き込む様にして女の子が言った。
「ねえねえ、天国に行った事ある？」
突拍子もない質問だった。
「天国か～、天国には行った事ないな。あれは死んだら行く所でしょ？」
「生きてても天国に行けるんだよ。ねえパパ」
「お前、何処行って来た？」と僕は友達に聞いた。
すると友達は、奥さんが台所に居るのを確認すると、小声で言った。
「先週な、札幌へ行った時に・・・」
「すすきの行ったんだ」僕が透かさず言った。
「うん」と頷く友達。
「お前、相変わらず風俗が好きだな」
「天国にはね、綺麗なおねえちゃんがいっぱい居るんだって。ミッチも行きたいな～」