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最終更新日:2024年04月19日
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第213話 「門限」

残業で遅くなったある日の事。家の玄関のドアを開けようとして、ふと隣りの家を見ると、今年高校生になったその家の娘が、玄関の前にしゃがみ込んで携帯をいじっていた。
真っ暗闇の中、携帯の青白い明かりだけが女の子の顔をぼんやりと照らしている。
「何だ、どうした?お化けかと思ったぞ」僕は女の子に声を掛けた。
女の子は顔を上げると、笑いながら言った。
「門限を過ぎたから家に入れて貰えないの」
真夜中に平気でコンビニをうろついている高校生を今まで沢山見ていたので、こういう家も実際あるんだと思うと、何だか少しホッとした様な気がした。
「門限って何時なんだ?」
「十時。ありえなくない?せめて十二時とかにして欲しいよね。だいたい今時、門限ってなに?って感じだよね」
「何よ、母さんか?」
「そう、家のクソばばあ」
「今日は俺が母さんに言ってやるからさ」
このまま放って置く訳にもにもいかなかった。僕がインターホンを鳴らすと母親が出た。
「しつこいね!、約束も守れない奴は家に入れないんだから!どっかで野垂れ死にでもしな!」
それを聞いた娘は大笑いしている。
「うける~っ何?野垂れ死にって、今時ありえなくない?」笑いが止まらない。
「ダメだって、反省するふりだけでもしろよ」
「うん、分かった」
「隣りの○○ですけど」
「あら、御免なさい」
ドアが開き、娘の姿を見るや、再び怒鳴りまくる母親。
その言葉をシュンとした顔で黙ってうな垂れて聞く娘。大した役者っぷりである。
「もう本人も充分反省してる様だし、この辺で許してやったら?」
母親は仕方ないといった顔をして娘の頭を一発引っぱたくと、家に入れた。
娘は僕の方を見ると、ペロっと舌を出した。
それから何日かしての事。
飲み会で帰りが遅くなった僕は、玄関の鍵を回しながら、何気に隣りの家を見ると、かなり酔いが回った様子の旦那が、玄関の前に座っていた。

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