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最終更新日:2024年04月19日
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第214話 「叔父16」

叔母からの電話だった。
「ちょっと、家の爺さんが家出した見たいなんだけど、そっちに行ってないよね」
「来てないけど、どうしたの?喧嘩でもしたの?」
「喧嘩っちゃ喧嘩だけど、別に家出する様な事でもないと思うんだけどね」
「いつから居ないの?」
「昨日の昼過ぎからだと思うんだけどね。私が買い物から帰った時には、もう居なかったからさ」
時計を見ると、もう夜の八時を過ぎていた。
「でも、何で家出だって思うの?事故とかの可能性だってあるじゃない」
「だって、置き手紙して行ったんだよ」と言って大笑いする叔母。
「いいかい?読むからね。あ、ちょっと待って、メガネ・・メガネ・・あった。 前略、お前を見染めて以来、早四十年。夫婦としてのあり方に最近疑問を持つ様になった。この辺りで一度、お互いが一人になって考えて見る必要があるんじゃないかと思う。俺は暫く旅に出る。探してくれるな」
僕は、思わず噴き出した。
「ねえ、笑えるでしょ?旅って、飛行機も一人で乗れない人がさ・・」と言って大笑いしている。
「何なの?喧嘩の原因って」
「多分なんだけど、昨日の朝、味噌汁をお代わりしたいって言うから、もう無いって言ったのよ、その事で結構怒ってたから、それが原因だと思うんだよ。二人しか居ないし、いつも余すから、もったいないと思って、ちょっと少なめに作った時に限って、お代わりするんだもんね。面倒な事言ったら叩き出していいから」
「エッ?分かる?」と僕。
「分かってるよそんな事」と叔母は小声で言った後、次にわざと大声で話した。
「もしも、そっちに行く事があったら言っておいて、私にも考えがあるって」と言って叔母は電話を切った。
「どうだった?心配してる様だったか?」
僕の直ぐ横に立っている叔父が脳天気な顔をして言った。
「心配は全くしてないね。叔母さんにも考えがあるって言ってたよ」
「ふん、あのババア強がり言いやがって」

つづく

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