年が明けて初めての出社日、女子社員が羽賀に言った。
「お正月休みは、どこか行ったんですか？」
「嫁さんの実家に行ったくらいで、後はほとんど家でごろごろしてたな」
「私も実家に行ったくらいですね」
「俺も、嫁さんの実家に行って、あとは子ども達を連れてスキーに行ったくらいだな」加藤が言った。
「僕はですね・・・」と山本が言い掛けた時に羽賀が言った。
「子どもの頃って正月は何かワクワクしたもんだよな」
「そうですね。お年玉なんか貰っちゃって、お雑煮とか、お汁粉食べてね」
女子社員が昔を懐かしむ様に言った。
「そうそう、親戚連中もたくさん来てさ、カルタやったりしてな」と加藤。
「何だか年々お正月らしく無くなっている様な気がしませんか？」と女子社員。
「そうですね。僕も・・」
と山本が言い掛けたところで今度は加藤が言った。
「正月ったら、何か特別な日って感じだったけど、最近はそんな感覚無いもんな」
「そうですね、何かのんびり出来ないって言うんでしょうか？」と女子社員。
「そんな感じするよな。店屋とかが普通に営業してたりするからかな？昔は正月って言ったら、どこの店も閉まってたもんだろ。通りを歩くと、結構閑散としててさ」と加藤。
山本が何か言い掛けた時に、羽賀が言った。
「そうですよね・・・」
「何で僕を無視するんすか」と大声で山本が言った。
「誰？お前」と振り向き様に加藤が言った。
「そうだよ。さっきから、ちょろちょろとうるさい奴だな。誰だお前！」と羽賀。
「山本っすよ山本」
「おお～山本か。顔が真っ黒なんで誰か分からなかったぞ」と加藤が言った。
「サイパン行って来たっす」
「何がサイパンだ！あんぱん見たいな顔の色しやがって。お土産はどうした？チョコレートはいらんぞ」と見透かしたように言う加藤。
「えっ？・・・・・今年も僕って、いじられ役っすね」