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最終更新日:2024年03月29日
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第237話 「わすれもの」

花見の時期となった。今年は晴天にも恵まれ、絶好の花見日よりとなった。奥さんを連れて来る者。子どもを連れて来る者。ペットの犬を連れて来る者と、総勢で結構な人数となった。
「いや~まだ少し肌寒いけど、天気になって良かったな」
焼肉を箸でつつきながら羽賀が言った。
「本当っすよね。予報では雨だったんで心配してましたけど、良い天気っすね」
山本がビールを片手に炭を追加しながら言った。
「お前、歩いて来たの?」加藤が羽賀に言った。
「はい、近いんで歩いて来ました」
「近いって、一キロ以上あるんじゃないか?」
「そうですね。天気も良いんで散歩がてら来ましたよ。でも今年は、タイミング的にバッチリでしたね」
「そうだな。満開だもんな」
花見会場は、いつしか花の事など忘れ、飲んで食っての大騒ぎとなった。子どもは子ども同士で遊び、奥さんは奥さん同士で話しが弾む。毎年の事ながら、花より団子というやつである。
午後三時。少し肌寒くなって来たので、この辺でお開きという事になった。桜の木に寄り掛かる様にして数人が酔い潰れていた。
「お~い、起きろ~っ。帰るぞ~。お開きだ」
加藤が一人一人肩を叩いて周った。
「あれ?俺いつの間にか寝ちゃったんだ」
よだれを手の甲で拭いながら、真っ赤な顔をした羽賀が言った。
「後片付けしなくちゃ」と言って、よろよろと立ち上がる羽賀。
「もう終わったっすよ」笑いながら山本が言った。
「おい大丈夫か?送って行くか?」と気に掛ける加藤。
「大丈夫ですよ。すぐそこですから、歩いて帰ります。それじゃ、みなさんご苦労様でした」と残り少ない人数に挨拶を済ませると、羽賀は自宅の方へと一人で歩いて行った。
「よし、これで全部片付いたっすね・・・あれ?」
その時、林の中から心細そうな顔をした子どもが山本の前に現れた。
「僕はどこの子かな?」
「羽賀健太です!4歳です」と元気な声で答えた。

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