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最終更新日:2024年04月25日
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第245話 「壱千円也」

 出社して間もなくして加藤が山本に言った。
「金貸してくれるか?」
「えっ?お金っすか?」
「今日さ、財布忘れちゃって、昼飯代が無い訳よ。千円貸して、山本君」
「そう言う事でしたか」
「えっ?どう言う事だと思ったんだ?」
「お金貸してくれって言うんで、てっきりまとまったお金かと・・・」
「お前ね、何で俺がお前にまとまった金を借りなきゃならんわけ?」
「そっ、そうっすよね」と言って、山本は財布から千円を加藤に渡した。
「金が無いって言ってる割に結構入ってるじゃん」と言っ財布を覗き込む加藤。
「今日は彼女の誕生日なんで、食事にでもと」
「へ~っ、そうなんだ。明日は休みだしな。最後はホテルで一発、いや一泊か?」
「今日は食事して終わりっす。彼女は明日仕事なんで」
「あっそ、でも大丈夫か?こんな大金借りちゃって」
「大丈夫っすよ。たかが千円じゃないっすか」
「お前ね千円を馬鹿にする者は千円に泣くんだぞ」
その日、会社が終わると山本は、彼女へのプレゼントを買うと、約束のレストランへと向かったが、プレゼントが思いの外、値が張ったので、カードを使えば良かったと少々悔やまれた。レストランで彼女との会話も弾み、食事を終えて会計をするとお金が足りない。それも千円。カードを使おうとしたが、山本が持ってるカードは店では使えないという。レストランの場所は会社から近かったので、誰かに借りようと会社に電話をすると羽賀が出た。
「そっか、分かった。俺も今帰るとこだったんで、これから行くよ」
三十分近く待って、ようやく羽賀が到着した。お客さんとの電話が長引いたとの事だった。
「ありがとうございます。助かりました。頼れるのはやっぱ羽賀さんっすね」
羽賀はスーツの内ポケットに手を入れながら言った。
「そりゃそうだろ。感謝しなきゃな。これで大きな貸しが・・おっ?ちょっと待てよ。あれ?嘘だろ、財布忘れて来ちゃったよ」

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