激しい雨が降り続くある日の事。窓の外を見ながら山本が言った。
「今日は自転車じゃ帰れないだろうから送って行くよ」
「良いんですか？」と女子社員が言った。
「あらら、お前ら大丈夫？」羽賀が言った。
「何がっすか？」と山本。
「そうですよ。また変な事考えてるでしょ」
「山本が車の中で迫って来たらどうする？」
「全く私の好みじゃないですから、大丈夫です」
「あっ、そうなの？」
「私はもっとがっちりしたタイプが好きです。やさ男って嫌いですから」
「え？俺ってやさ男？」悲しそうな顔の山本。
「あっ、いえいえ。そんな意味じゃ無いんですけど」
「じゃどんな意味？」と意地悪く聞く羽賀。
「とにかく羽賀さんの想像する様な事にはならないんで、ご心配なく」
「女ってイケメンが好きなんじゃないの？」
「そんな事ないですよ」
「じゃ、どんな男が好みなんだ？ガンダムに出て来るモビルスーツの種類で答えなさい」とマニアックな事を言い出す羽賀。
「また、ガンダムっすか」と山本。
「ドムとかズゴック見たいな人が好みですね」
「おっ、俺が教えたガンダムをちゃんと勉強したんだな。ガンダムはダメか？」
「そうですね。ごつい人が好きですね」
「顔は関係ないのか？」
「男は顔じゃないでしょ」
「そう、そうなんだよ。男は顔じゃないんだよ。お前良い事言うね」と羽賀。そこに加藤が話しに加わる。
「俺さ、彼氏見た事あるけど、カトゥーンの亀梨にそっくりだったぞ。あれで男は顔じゃないって説得力に欠けるんじゃないか？」
「そうなのか？」と羽賀。
「私は似てないと思うんですけどね。友達とか周りの人達が似てるって言うんですよ。でもカッコ良いのは確かなんですけどね。まあ、たまたま付き合った人がイケメンだったって事ですよ。男は顔じゃないです」
「ほらな、全く説得力が無いだろ」頷く男二人。