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最終更新日:2024年04月12日
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第272話 「風 邪」

 会社で羽賀が大きなクシャミを立て続けに三発した。
「おい、風邪か?」加藤が声を掛けた。
「そうなんですよ。今朝から何だか寒気がして」マスクの中で鼻をぐしゅぐしゅさせている羽賀。
「そんな訳ないって、お前が風邪なんか引くわけがないだろ」
「どう言う意味ですか!」
「そう言う意味だっての」
「あれって迷信ですよね」
「そんな事ないよ。昔の人は上手い事言ったもんだよ」
「だって、加藤さんもよく風邪引くじゃないですか」
「ああそっか、じゃ迷信だな・・・うん?」
「毎年一番初めに風邪引きますもんね」
「そうなんだよ。うちの場合は子どもが多いだろ、きっと何処からか風邪をうつされて来るんだろうな。お陰様で毎年流行の風邪を余すところなく引いてるよ」
「流行に敏感なんですね」
「そうそう、最近の流行をいち早くキャッチしてるってとこかな」
「遠慮したい流行ですけど」
「でも今年はまだみたいっすね」と山本。
「そう言われるとそうだな。子ども達も風邪引いてないみたいだし」
「でも風邪は気をつけた方がいいぞ。万病の元って言うしな」随分と羽賀を気遣う加藤。
「ありがとうございます」
「薬は飲んだのか?」
「はい、飲みました。だからもう大丈夫ですよ」
「いやいや、無理しないで帰って寝た方がいいんじゃないか?別に急ぎの仕事はないんだろ?」
「いえ、本当に大丈夫です」
出かけ際に羽賀は山本に小声で言った。
「ああ見えて、結構優しいとこあるんだな。加藤さんって」
「えっ?そうっすね。羽賀さんの事が心配なんすよ」羽賀はたいそう気分を良くした様子で出掛けて行った。
「ちっ!作戦失敗か」と加藤が悔しそうに舌打ちをしながら言った。
「やっぱり何か魂胆があったんすね」と山本。
「さっきお客さんが来た時にケーキを貰ったんだけど、一人分足りないんだ」

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