叔父から電話が来た。
「元気か？」
「どうしたの？先週会ったばかりでしょ」
「どこか怪我したとか、身体の調子が悪いとか異常な事はないか？」
「ないよ、何事もなく毎日平穏に暮らしてるし身体の方もいたって健康だよ」
「何だ、そうか・・・」
「何だって、健康じゃダメ見たいじゃない」
「あっ、そう言う意味じゃなくてな」
「じゃどう言う意味？」
「夕べな、お前の夢を見たんだ」
「夢？どんな？」
「お前と二人で山で山菜取りしてたら、でっかな熊が出て来てな。俺は近くにあった木によじ登って助かったんだけど、お前が熊に捕まっちまって、食われちまったんだよ。それで朝起きてから、これは何かの悪い知らせじゃないかと思ってな、それでお前に電話したってことなんだ」
「何だ、そんなことかい。ただの夢だよ。そんなの気にしない方が良いって」
「でも正夢って事もあるから気になってな。でも元気なら良いよ。安心した」
「本当にそんな事で電話して来たの？何か別にあるんじゃないの？」
「何もないって、どっちにしても夢の中の話だから気にする事ないって、じゃあな、元気な声聞いて安心したよ」と叔父は少し慌てた様子で、電話を切った。どっちにしてもってどう言う事だろう？何か隠してる。
その晩僕は叔父の夢を見た。山の中で叔父と二人で山菜取りをしていると、藪の中から大きな熊が出て来た。僕が叔父と二人で逃げようとしたら、叔父は僕の背中を思いっきり押して熊の前に突き倒した。熊は真っ直ぐに僕の方へと迫って来る。叔父の方を見ると、かなり離れた場所の木に登ろうとしていた。熊が僕目掛けて飛び掛って来た時に目が覚めた。叔父が昨日、あんな事を言うから変な夢を見てしまった様だ。その日、僕は叔父に電話をした。
「叔父さん、俺を熊の前に突き飛ばしたね」
「えっ？えっ？・・・どうして分かったんだ？」