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最終更新日:2024年04月19日
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第290話 「律子さん5」

 グレートデーンのジェームスを預って二週間が経った。明日はジェームスを飼い主に返す日だ。
「ねえ、ジェームスを家の子にできないかしら?こんな大きな犬、飼い主も持て余してるんじゃない?」
「そんな事ないよ。旅行に行ってる間だけ預るって約束だから。犬が欲しかったら飼えばいいだろ」
「ジェームスじゃなきゃダメなの。ジェームスの全てが好き。でっかいウンチだって好き。今迄で私に懐いたのってジェームスとあなたぐらいなものよ」
「俺も犬と同列かい」
「そう、ジェームスもあなたも私にとって大切な家族なの」
私は、犬なんて所詮、人を喜ばせるだけの小道具としか考えていなかった。だから犬は家族の一員なんて言ってる人を心のどこかで少し馬鹿にしていた。でも、実際にジェームスを飼ってみて、私の考えが間違っていた事に気付いた。犬は家族の一員なのである。
「君がジェームスも大切な家族と言うんだったら、飼い主も同じさ、それにこの犬の寿命はとても短いんだ」
「病気なの?」
「そうじゃなくて、平均寿命さ。七年か八年ぐらいで死んじゃうんだ。ジェームスは今五歳だから後二、三年で死んじゃうんだよ」
それを聞いた私は思わずジェームスに抱きつき号泣した。
「ジェームス死んじゃいや」
「だから今直ぐ死ぬわけじゃないって」
「ジェー・・。あっそうか」
「ジェームスに会いたかったら時々連れて行ってやるから」私は納得すると、最後の夜をジェームスと一緒に居間で寝る事にした。
「えっ?居間に寝るの?そっかそっか最後だもんな」
「どうしたの?何だか嬉しそうだけど」
「いやいやそんな事ないさ。じゃ、今夜は遅いからお休み」と言ってさっさと二階の寝室へと向かう主人。真夜中、二階の寝室のドアをジェームスが鼻を鳴らしながら 引っかく。
「そうか、やっぱり避難して来たか。それじゃ今日は一緒に寝ようかジェームス。俺も実際、困ってるんだよ。あの怪獣なみのイビキには」

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