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最終更新日:2024年03月28日
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第298話 「叔父24」

 叔父から電話が来た。
「毎日暑くて嫌になるな。普通は盆が過ぎると涼しくなるもんだけど、今年は盆の後が暑いんだもんな。異常だな」
この後の話はだいたい予想がつく。
「今日は夕方から焼肉でもするべ。来れるべ?」
予想通りだった。
「うん、良いよ。何買って行く?ビール?」
「ビールは充分にあるから何か自分達で食いたい物とか飲みたい物があったら持って来い」
ちょっとした買物をして叔父の家に行くと、余りの人の多さに驚いた。
「何でこんな大勢居るの?」
「焼肉は大勢の方が楽しいと思ってよ、隣り近所に声掛けたらこんなに集まった」
それも年寄りばかりで、ちょっとした敬老会だ。
「若い人って居ないんだね」
「そうだな、みんな歳とっちゃったな」少し寂しそうに叔父が言った。
そんな話をしていると、一人の年配の男性が側に来て言った。
「昔は、この辺りは一面畑で家がなかったんですよ。四十年も前の事ですけどね。この人がこの辺りの土地を買って、皆に分譲したんですよ」と不動産業をしている叔父を見ながら言った。
「えっ?じゃあ、ここに居る人達って、みんな叔父さんのお客さんだった人?」
「俺の大切なお客だよ」
「この人、商売っ気があるのかないのか、ただ同然の値段で土地を売ろうとするもんだから、こっちが気の毒になっちゃってね。逆にこっちで値段を付けて買わせて貰ったんですよ」
叔父らしい話である。
「あんた見るからに貧乏くさかったもんな」
「今でも貧乏くさいかい?」
「いやいやとんでもない。今じゃ、でっかな会社の会長さんだもんな」
「昔はみんな貧乏だったのに出世したもんですよね」
「医者に会社の会長に社長や弁護士も居るんだもんな。何かあったらこんな心強い近所はないぞ。じじいやばばあばかりだけどな」叔父が笑いながら言った。
「ここに家を建てる人は皆、出世するんですよ」
それを聞いて僕は叔父に言った。
「もう空いた土地はないの?」

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