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最終更新日:2024年03月28日
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第308話 「似た者夫婦」

 会社の帰りに友達と待ち合わせをしている居酒屋の暖簾をくぐる。店員に案内された席には、既に友達のAとBが来ていた。
「随分とお洒落な店じゃないか」僕は席に着くと店内を見回しながら言った。
「先月オープンしたらしいんだけど、多いよな。最近、こんな感じの店がさ」とB。
席には三人分のコップが伏せてある。Bは自分の前にあるコップを持ち上げ、天井からのライトの光を透かす様にしながらコップを見ている。その時、店員が注文を聞きにやって来た。
「ちょとお兄さん。このコップ指紋が付いてる。気持ち悪いから変えて」店員は一礼して謝ると、新しいコップを取りに行った。
「お前も相変わらずだな」とAが笑いながら言う。店員が新しいコップを持って来てBに渡すと、そのコップを見てBは二、三回小さく頷いた。Bの潔癖症は友達の間では有名で、いろいろなエピソードがあった。
「だけど、よくもこれだけ潔癖症な男と一緒になる女がいたもんだな」と僕が言った。
「本当だよな。その潔癖症もほどほどにしないとな。今まで付き合って来た女は、みんなそれで逃げ出しちゃったんだから」と来たばかりの焼き鳥を美味そうに食べながらAが言った
「俺もさ、時々自分の潔癖症が嫌になる事があったんだけど、結婚してそんな事ないって思ったんだ」と言うBの言葉を不思議な顔で聞く僕とA。
「上には上が居るって事さ。仕事から帰ったら玄関で体中を掃除機かけられて、その場で素っ裸になって風呂場へ直行。シャワーが終わったら風呂場を全部掃除だよ。もしその時、鏡に指紋一つでも残したら大変さ」
「お前、それって祟りだよ。今まで付き合って来た女の怨念が凝縮して今の女房になったんだわ」と人の女房を妖怪人間みたいに言うA。
僕も笑いながら言った。
「世の中って良くできてるって言うか、神様っているのかもな。潔癖症には潔癖症で、デブにはデブか」油物大好きなAは二皿目のから揚げを食べながら言った。
「誰がデブだよ」

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