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最終更新日:2024年04月12日
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第313話 「趣味(2)」

 確かに、嫌いとまではいかないが、取っ付き難いというか、とにかく僕等とは人種が違う。ここに居る二人も同じ意見の様だ。
「別に嫌いじゃないけどさ」と言うA。
「じゃないけど何なのよ」涼子は、ちょっと酒が進んでいる様だった。
「苦手なタイプだな」とA。
「そう、表情が無いって言うか、冷たい感じがするんだ。機械みたいにさ」とB。
「そうなんだよね。何考えてるか分んないってとこ確かにあるんだよね」と妙に納得する涼子。
「一緒に居る時は笑ったりふざけたりするんだろ?」と言う僕の質問に対し、一瞬だけ涼子の表情が止まる。
何かを思い出そうとしている様だった。そして直ぐに無表情な顔をして言った。
「あんま無いかな・・」と、予想外の答えが帰って来た。
「好きなんだろ?」とA。
「そりゃ、好きだよ。でもさ、付き合いが長過ぎて、そんな感情は二の次になっちゃってる様な気がする。別れるにしたって理由が無いし、また新しい人見つけるのも、お互い面倒だし、このまま惰性で行っちゃた方が、楽なのかもって考えが、私達の中にあるのかも知れない。いや、絶対そうだよ。少なくとも私はそう」と、今にも泣き出しそうな涼子を見てAが言った。
「決めたんだから、一回して見ろよ。ダメだったらまた俺達がお前の趣味の引っ越し手伝ってやっから」
「そうだよ。お互い好きなのは一緒なんだからさ、何も迷う事ないって」と僕。
「そうだよね。一回してみるね。もしダメだったら、また引っ越し頼むね」涼子の顔に笑顔が戻った。結婚式はごく簡単に親族だけで済ますとの事だった。
その後、涼子が結婚して二年が過ぎた。家で夕食をとっていると電話が鳴った。涼子だった。
「久し振りだな。元気か?」
「うん、元気元気。あんたも元気そうだね」
「なんとかな」
「その元気さを見込んで頼みがあるんだけどさ」
「・・おい!・・まさか!」
「そう、私の趣味に付き合ってくれない?」

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