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最終更新日:2024年04月12日
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第321話 「律子さん12」

料理は女がするものだと誰が決めたのだろう。専業主婦ならまだしも、私は働いているのだ。仕事の帰りにスーパーに寄り、夕食の食材を買って家に帰る。それから着替えて、夕食の準備。毎日がこれの繰り返し。
「スーちゃんのとこは今晩何食べるの?」私は隣りの席の田中好子に聞いた。
「そうですね。今晩は肉じゃがにしようかな」
「また?この前も肉じゃがだったじゃない」
「だいたいの男の人って肉じゃがが好きらしいんで、献立に困ったらそうしてるんです。あと、カレーも男の人って好きみたいですよ」
そんな事言われなくても分ってるわよ。男なんて子どもが喜んで食べるような物が好きなんだから。そう思いながら私は話を続けた。
「でも、肉じゃがはちょっと早くない?先週よ先週」
「そうですかね。それじゃ、カレーにしようかな」
この女も何てレパートリーが少ないんだろう。そう思うとイラついた気分になった。
「それもしたばかりだわ!」
思わず少しきつめに言ってしまった。料理下手な妻をもらって、旦那も可愛そう。
「えっ?律子さんて凄いですね。うちの献立をよく憶えてますね。あっ!そうだ。今日は酢豚にしようかな?私、酢豚作るの得意なんですよ」
酢豚?酢豚って、そう言えば作った事ない・・。
「あ、あれ面倒じゃない。ああいう料理は休みの時にゆっくり作った方が美味しいのが出来るのよ」
「確かにちょっと面倒って言えば面倒ですね」
「そうでしょう?で、何?何にするのよ」
「えっ?何か・・・怖い」
「あっ、ほら健康の源は食事からって言うじゃない。食事はバランスが大切なの。だから少し心配になっちゃってね」と慌てて私はその場を何とか取り繕った。
「ハンバーグは・・・」
「あら良いわね。暫く食べてないんじゃない?」
私は、その後少しだけ残業をし、何時もの様にスーパーに寄ってから帰宅した。ちょうど食事の準備が終わったところで主人が会社から戻った。そして開口一番。
「えっ?またハンバーグ?」

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