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最終更新日:2024年04月25日
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第33話 「目薬」

友達の子どもに、今年の春から幼稚園に入る女の子がいる。友達がF1レーサーのアイルトン・セナが好だったから『せな』と名づけたそうだ。
せなは、とても明るく陽気な子で、僕が友達の家に遊びに行く時は、いつも袋いっぱいのおやつをお土産に持って行く。
親への土産を持って行かなくても、せなの土産は欠かした事がない。この日も僕からお菓子の沢山入った袋を受け取り、僕の膝の上に座ると、楽しそうに袋を開けた。
女の子だからなのか、とにかく口が達者で、どこで覚えた言葉だろうと親も首をかしげるほど、色々な言葉が機関銃の様に小さな口から飛び出して来る。
昔から友達は熱帯魚が好きで、家の中にはいくつもの水槽が置かれ、見た事もない魚が沢山泳いでいる。
「あそこのおさかなのおめめ、どうしてあかいかわかる?」僕にせなが聞いた。
「せなは分かるの?」
「うん。あれはね、よるはやくねないから、あかくなちゃったんだって」
「そっか、それじゃせなも早く寝ないとダメだな」
「そうだよ。お魚さん見たいな目になっちゃうから、もう寝ようね」母親らしい口調で奥さんが言った。
少しして、パジャマに着替えたせながやって来て、おやすみの挨拶を済ますと、部屋に戻って行った。
その後、何気なく水槽を見ると、赤い目の魚が泳ぐ水槽に、目薬が容器ごと浮いていた。

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