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最終更新日:2024年04月19日
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第330話 「律子さん15」

熊と一緒にされて少し不機嫌になった私に、慌てて主人が言った
「あっ、例えが悪かったね。まあ、冬は太っても仕方が無いって事だよ。いや、君が別に太ってるって事じゃないよ。例え五キロぐらい太ったって、どうって事ないよ。太ったのも全然分らないくらいだし」
「それって元々私が太いから五キロくらい太ったって大して変わらないって事を言ってるんでしょ」
「いやいや、そういう事じゃなくてさ、それに君は全然太ってなんかいないって」
主人はかなり慌てている。もうこの辺で許してあげよう。そう私が思った時、主人は私に紙袋を手渡した。
「前に君がネットで見て、欲しいって言ってただろ?」
中を開けるとスニーカーが入っていた。
「わ〜、これ私が欲しかったやつだ。有難う」
主人のこういう何気ない優しさが好き。
主人の「走りやすそうだね」は、このスニーカーを私に渡すための前振りだったのだ。かなり話は遠回りしたけど、最後はちゃ
んと私を喜ばせてくれる。
私は子どもの様に大喜びでスニーカーを手に取った。
「可愛い〜っ。これで明日から頑張って走れ・・・・」
この時、私は自分でも顔色が見る見る変わって行くのが分った。主人は私の顔を見て瞬時に危険を察した様で、まるで子犬の様に怯えながら言った。
「えっ?えっ?何?ど、どうしたの?」
私は顔を少し伏せ気味にすると、念仏の様に小さな声で独り言を言った。
「おしい、おっしいな〜」
「えっ?何?美味しい?何が?何が美味しいんだ?」
とんちんかんな事を言う主人に私は自分の強い感情を押し込める様に腹の底から響く様な声で静かに言った。
「何でちゃんと見てから買わなかったのよ」
「見た見た、見たよ。あの後ネットでちゃんと確認してから買いに行ったから絶対に間違いないはずだよ」
「私はそういう事を言ってるんじゃないの」
「じゃ何だよ」
「こんな小さなサイズ誰が履くのよ!」

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