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最終更新日:2024年04月25日
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第337話「残業」

 他に誰も居ない社内で残をしていた山本が、退社しようと席を立った時、静まり返った社内に電話が鳴り響いた。
一瞬ドキリとして電話を見ると、非通知になっていたが、構わず山本は受話器を取った。
「私、寝られないんだけど」
「はい?」突拍子も無い相手の言葉を理解できなくて山本は聞き返した。
「そこってQ-jin君の会社でしょ?」
「はい、そうですけど」
「今週のQ-jin君って何処にいるのよ。見つけないと今晩寝られないじゃない。先週だって、朝の三時迄かかったんだから」
「はあ・・・」と困惑する山本。声から察すると、かなり年配の女性の様だった。
「答えは、お教えできない事になってるですよ」
「じゃなに?私が寝不足になって、事故でも起こしたら責任取ってくれるっていうの?」帰り際に面倒な電話を取ってしまった
と後悔しながら、山本は腕時計を見た。その瞬間、約束の時間に遅れた時の彼女の顔が脳裏に浮かぶ。
今日は彼女と食事をする予定だった。
「4ページに載ってますよ」
「答え教えてるじゃないの」
「いえ、答えじゃありませんよ。ヒントです」
「なるほど、ヒントね。ちなみに4ページのどの辺?」
「真ん中から下ですね」
「これってほぼ答えよね」
「いえ、第2ヒントです」
「あっ、第2ヒントね。これで何とかなりそうね。どうもありがとう」そう言って電話は切れた。
受話器を置くと同時に、山本は今見ていたQ-jin君を片付だした。何気なく号誌を見ると、それは先週号だった。
「あちゃ~っ。嘘教えちゃったよ」責任を感じた山本は、彼女に遅れる事を伝えると、会社に残って電話を待った。だが、
その日はもうかかっては来なかった。
 何日か後、懸賞応募のハガキを確認していた担当者が意味不明のハガキを見て困惑していた。それを見た山本が声を掛けた。
「どうしたんすか?」
「う~ん。これどういう意味だろう?」ハガキを見ると、答えの下に大きな文字で「嘘つき」と書いてあった。

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