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最終更新日:2024年04月19日
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第340話「デジャブー?」

 今日は日曜日。もっと遅く迄寝ていたかったが、太陽のジリジリとした熱が部屋の中まで入って来て、とてもじゃないが寝てなどいられない。
カーテンを開け、外を覗くと、炎天下で祖父が庭の草取りをしていた。
でっかい麦わら帽子を被っている祖父の姿を見ると、夏が来たなと思う。ちょっとした我が家の風物詩と言った感じだ。
「爺ちゃん、大丈夫か?熱中症になるぞ」窓を開けて僕は祖父に声を掛けた。
「水分を取って、休み休みやってるから大丈夫だ」と言って再びしゃがみ込み、草取りを始めた祖父の後ろ姿を見て、年々
小さくなって行く背中に、言いようのない寂しさを感じる。
僕は、冷蔵庫から冷たいお茶をコップに注ぐとベランダ越しに祖父へと手渡した。
「おお、気が利くな。よし一休みするか。今な、百円拾ったんだ」と言って笑うと、縁台に腰を下ろし、冷たいお茶を一口飲んだ。
「何も今日みたいな暑い日にそんな事しなくても良いだろ。明日にしたら?曇りで涼しいみたいだからさ」
「年寄りってのはな。今日出来る事は今日の内にするもんなんだ。いつお迎えに来るか分らんからな」笑いながら祖父は言った。
「何だよ、悲しいこと言うなよ」僕の言葉を聴いて笑みを浮かべると、祖父は縁台から立ち上がった。しかし次の瞬間、膝から崩れ落ちる様にして倒れ込んた。
「爺ちゃん?爺ちゃん!」僕は祖父をゆっくりと腕の中に抱え込む様に仰向けにした。
息をしていない祖父を見て僕は大声で叫んだ。
「誰か!親父!親父!居ないのか?親父!・・・」そして、はっと目が覚めた。
とてもリアルな夢だった。ベッドから起きて、カーテンを開け、外を覗くと祖父が草取りをしている。
今見た夢と全く同じ光景がそこにあった。僕は慌てて窓を開けると、祖父に言った。
「爺ちゃん!草取りはダメ」
「あん?このクソ暑いのに草取りなんかするか!」
「だって今しゃがんでたろ」
「ああ、これ拾ったんだ」と笑いながら、銀色に光る百円玉を僕に見せた。

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