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最終更新日:2024年04月19日
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第368話「律子さん30」

 この島で大怪我や急病になった時は、ヘリで石垣島の病院に運ばれる。その時の手続きは?ああ、民宿の浩美さんに言えば済むのか。何だか現実と夢の狭間に居る様で頭がボ~ッとした。
荒木隊長のピナイサーラの滝・見学ツアーは急遽中止となった。それどころではない事態に遭遇したからだ。
 あけぼの館に戻り、全員が食堂に集合する中で、名古屋のおばちゃんが言った。
「あらら、やっぱり足が折れてたんだね。可愛そうに」
「何言ってるのよ。どうせ食べちゃうんだから」もう一人のおばちゃんが嬉しそうに言ってると、荒木ちゃんと主人がシャワーを終え
て、食堂へとやって来た。
「いや~運が良かったんやな。こんなにぎょうさんガザミがおる所に落ちたんやから」と荒木ちゃんは嬉しそうに言った。ガザミとは、
ワタリガニの一種で、最近は数も減っていて、なかなお目にかかれない。
「馬鹿な事言わないでよ。心臓が止まるかと思ったんだから」と声を荒げる私。
谷底に転げ落ちた二人は、ほとんど誰も足を踏み入れたことがない様な湿地帯に頭から突っ込んだ。その着地する寸前に、たくさんのガザミが巣穴に隠れるのを荒木ちゃんは見ていたのだ。
岩場ではない比較的緩やかな苔むした斜面だった為に、無事だった様だ。二人はお互いの無事を確認しあうと、荒木ちゃんの指示で主人も一緒にガザミ獲りを開始。
谷底を覗く六人に無事を伝えると、荒木ちゃんは泥の中からガザミを引きずり出して頭上に持ち上げた。すると上で歓声が上がり、名古屋のおばちゃんが自分で背負ってるリュックのポケットからエコバッグを取り出すと、谷底めがけて投げ込んだ。一晩飲んだだけなのに何なの、このチームプレイ。
結局は小さいのは逃がして大きいのを六匹捕獲。
真っ赤にボイルされたガザミをわいわい騒ぎながら写真撮影をしている時だった。
主人の背中に、またサソリが。今度はさっきより一回り大きい。それを見た名古屋のおばちゃんが叫んだ。
「キャ~!タランチュラ」    つづく

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