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最終更新日:2024年04月19日
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第379話「愛車の最後」

 月曜日の朝、会社へ羽賀から電話があった。出勤途中で接触事故を起こしたとの事だった。
「怪我はないのか?」電話に出た山本に加藤が聞いた。
「怪我は無いそうですが、フレームが曲がっちゃったらしいっすよ」
「そりゃ結構酷いな。車は動かないのか?」
「もう廃車だって言ってました」
「誰か迎えに行かなきゃならないな。俺が行って来るか」と言って出掛けようとする加藤に山本は言った。
「その必要は無いみたいっす。相手の人が会社まで送ってくれるらしいっすよ」
「そうか。それにしても怪我が無くて良かったよな。車が廃車になるほどの事故だったのに、相変わらずあいつの生命力はゴキブリ並みだな」と加藤が笑う。
「でもあの車、買ってから三年くらいしか経ってないんじゃないですか?」女子社員が言った。
「じゃ、ローンもまだ残ってるって事だよな」と加藤。
「あとは過失割合っすね。ぶつけられたって言ってたから、相手の方が悪いんじゃないっすかね」と山本。
やがて会社の入り口付近に真っ白なアルファードが止まり、助手席から羽賀が降りて来た。
加藤が本当に怪我はないのかと心配そうに聞いていると、運転席から事故相手と思われる中年の男性が降りて来て言った。
「ご迷惑をお掛けしまして申し訳ありませんでした。私も全然気がつきませんで、あわや大事故になるところでした」と言って男性は頭を下げた。羽賀が言うには後ろの方から幅寄せされて、中央分離帯と相手の車に挟まれた為、咄嗟に中央分離帯の芝の上に飛び降りたのだそうだ。話を聞いてる者達は全く意味が分らない。
「飛び降りたってどうやって?」と加藤。
相手の男性がアルファードの後を開けた。去年大枚をはたいて買った愛車を見て山本は悲しそうに言った。
「暖かくなったんで今日から乗って来る事にしたんですけどね・・・」
そこには飴細工の様にグンニャリと曲った自転車が積んであった。

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