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最終更新日:2024年04月25日
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第381話「マーちゃん26」

裕樹君は、二つ目のケーキもあっと言う間に食べ終えると、更に箱の中に手を入れ様とした。それを見てマーちゃんが言った。
「ご飯が入らなくなるからこれ以上はダメ!残りは持って帰ってご飯の後にお母さんと食べなよ」
「そうだな。ご飯が入らなくなっちゃうもんな」と僕が言うと裕樹君は、また真っ赤な顔をして、今度はさっきよりも大きく頷いた。
口元には少しだけ笑みが見えた気がした。その後に裕樹君は、座ったまま身体を後にのけ反らすと、両手を床につき、口を半開きにしたかと思うと、長くて大きなゲップをした。
「ダメだよ、人前でそんな事したら。恥ずかしいことなんだからね」と言って、まるで母親の様にマーちゃんは裕樹君をたしなめた。
「今日は、ここ迄にしようか」とマーちゃんが言うと、裕樹君はテーブルの上の勉強道具を片づけ出した。
「はい、ご馳走様は?」マーちゃんが言うと、裕樹君は僕の方に来て、頭を下げた。今度は、はっきりと見てとれる笑顔だったが、その笑顔と反対に、僕の顔は驚きのあまり、思わず強張った。裕樹君の頭のてっぺん。ちょうど旋毛の辺りに、大きな傷痕があったからだ。まだ少ない歴史しか刻んでいないこの子の小さな頭に、これ程の大きな傷痕があること事態、ただならぬ出来事が身の上に起こったであろう事は、想像に難くない。そんな僕の表情を素早く察した様に、マーちゃんが言った。
「もうそろそろお母さんが帰って来た頃だから、お家に戻ろっか」裕樹君はニッコリ笑うと、大きく頷いて、うんと言った。
ここのマンションの一つ上の階に住むという裕樹君をマーちゃんは送って行った。仲良く手を繋いで歩く姿は、まるで兄弟の様だ。
少ししてマーちゃんは、ラップのかかった大きな皿を抱える様にして帰って来た。
「裕樹君のお母さんに貰っちゃいました。いつも気を使わない様にって言ってるんですけどね」と大人びた事を言いながらも、嬉しそうな顔をしていた。つづく

 

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