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最終更新日:2024年04月19日
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第389話「律子さん40」

中古車を買いたいという妹に主人が言った。
「もう運転は金輪際しないって言ってたろ」
「そのつもりだったんだけど、やっぱ何かと不便なんだよね。車がないとさ」
彼女は今迄に四台の車を廃車にしている。最後の事故は死んでいてもおかしくない程の壮絶な事故で、今でも事故現場の一瞬にしてスクラップになった車を思い出すと、背筋が寒くなる。運よく全て単独事故で彼女自身も怪我がなかったのは、不幸中の幸いだった。
「絶対止めた方が良いな。お前に運転は向いてない」
「そんな事ないよ。免許だって持ってるんだしさ」
「今迄は単独事故で済んだから良いようなもんだけど、今度はそういかないかもよ」と私が言った。
「それってさ、私が事故を起こす事を前提に話してるんじゃない?」
「そう」主人と私は同時に頷いた。
「運転免許があるって事は私にも運転する権利があるってことだよね」
「確かに権利はあるけど、お前の場合はしない方が良い。権利を放棄しろ。親父達はなんて言ってる?」
「お父さんもお母さんも大反対で、チビ兄は好きにしたら良いって」チビ兄とは主人の弟の事だ。
「とにかく、車はダメ」
「もう買っちったもんね~」と言って彼女はいたずらっ子の様にベロを出した。
「マジか!」と大声を出す主人。
「そうマジ、マジよマジ。お金も払っちゃったもんね」
主人と彼女は、しばらくの間言い合いをしていたが、結局は運転技術を見極めてからという事で、私達は中古車屋へと向かった。
「これ?お前が乗るの?」主人は彼女が買ったという車を見てそう言った。
「これならさ、車も大きいし、事故っても怪我しないかなって思ってさ」
「それより、お前にはもったいないだろ。俺が乗りたいくらいだ」と主人。
「ねえ、カッコいいでしょ。アリストって言うんだよ」
「知ってるわ!」
私も車の事はよく知らないけど、どうやら高級車の様だ。つづく

 

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