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最終更新日:2024年04月19日
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第394話「一軒家」

友達のAから電話が来た。
半年前に引っ越した家に遊びに来ないかとの誘いだった。奥さんと子どもは夏休みということもあって実家に帰っているらしい。久しぶりに何人かの友達と一緒に飲みたいとAは言った。
ツマミとビールを買ってAの家へと向かった。
そこにはBとCが既にいて、僕と同じ様な物をそれぞれが持参していた。
建物はそれほど古くなく、外観も内装も綺麗だった。
「買ったのか?この家」僕がAに聞いた。
「いや、賃貸だよ」Aは笑いながら言った。
リビングは12畳ほどあり、そこから続いたキッチンも8畳ほどあって、なかなか広くて使い勝手も良さそうだ。
一階には、その他にリビングとは引き戸で仕切られた8畳の和室があった。
早速ビールをグラスに注ぎ、四人で乾杯をした。
「引っ越したいと思うんだ」突然Aが言った。
「えっ?だって引っ越したばっかだろ」と驚く僕。
「最初は一軒家に憧れて、ここを見つけたんだけど、やっぱ、あ、あれだな。俺の場合は寂しがり屋っていうか、隣り近所と壁が隣接してないと何か孤立してるっていうかさ、気持ちが落ち着かないんだよな」
「隣り近所のことを気にしなくても済む一軒家に越したいって言ってたのにな」とBが笑いながら言った。
その時、流しの水道から勢いよく流れる水の音で話が中断された。Aは慌てて水を止めながら言った。
「この水道、コックを下げると水が出るんだ。反対なんだよな。コックがゆるくなっちゃてて時々勝手に下がっちゃうんだ」と言ってAが自分の席に戻った瞬間、ペットボトルを指で押す様なパキッという音が和室から聞こえてきた。
「ラップ音だな。それで子どもと奥さんは怖くて実家なのか」と、遠くを見つめる様な目でCはAとBの間をじっと見ている。
「マジかよ、居るのか?」Bは怯えながら言った。
Cは静かに言った。
「うん、さっきからお前らの間に髪の長い女が立ってこっちを見てるんだ」

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